大切なのは、相手を尊重したコミュニケーションインタビュー
INTERVIEW #13
外科医療チーム
平田医師(写真中央)
千田看護師(写真左)
鹿内看護師(写真右)
2023年12月、インタビューを実施。チームとしての働き方、総合相模更生病院で働くことの魅力について語っていただいた。
今のお仕事、職場を選んだ理由を教えてください
(平田医師)
大学の卒業が昭和の最後になるのですが、当時は交通事故がものすごく多く、重症な外傷患者さんがたくさん来られる時代だったので、治療の現場は外科と考え救急外傷外科に勤めていました。
5年ほど前に外科の縁ある先生から誘われ、救急診療の立ち上げを行い、形ができてきたので、そろそろ待機的に予定を組んでやれるような診療をと考え、こちらの院長先生とは過去に同じ病院で勤めていた縁もあり、総合相模更生病院にまいりました。
実は血管疾患を見るような病院がこの辺には無く、そういう診療を広めることで地域の人たち少しでも尽くせればいいと思っています。
(千田さん)
小学校の時に交通事故で運ばれた病院の看護師さんに憧れてずっと看護師を目指していました。
群馬の4年生の大学を出て、3次救急の指定を受けている総合病院のICUで3年勤めていたんですが、結婚を機に旦那の地元がここ相模原だったので相模原に来ました。
将来的に子どもを産みたいという人生プランがあったので、保育園があり、駅が近く、色々評判を調べて働きやすそうな病院だなと思いまして、総合相模更生病院に来ました。
1年半内科病棟の方で経験して、その後外科病棟で今6年目で、トータルで今看護師歴が10年目になります。
(鹿内さん)
高校生の時に祖父が入院したのですが、祖父の性格を一言で言えば本当に頑固という人で、家族もちょっと手を焼いてしまうような人だったんです。
けれども、看護師さんがすごく一生懸命に看護してくれて、耳が遠くなっていた祖父に色んなコミュニケーションをとってくれて、すごく優しく接してくれて…そういう働いている姿を見て私も看護師になりたいなと思って看護師を目指しました。
学生の頃から看護師になったら認定看護師になりたいと考えていたのですが、就職活動している時に事務長さんが「そういう支援もあるよ」と教えてくださって、こちらに就職を決めさせていただきました。
希望がかなって今年の3月に昭和大学の認定看護師協力センターを卒業しまして、今試験の結果待ちです。(注:2024年1月 認定試験に合格)
先生は2023年の10月にこちらの病院にいらしたとのことですが、先生の第一印象はいかがでしたか?
(平田医師)
千田さんは困っていると思う、前例のない手術をどんどんやって、しかもそれがだんだん大きくなってきているから。
(千田さん)
でもなんだかんだ言ってみんな受け入れてはくれてますよね。
(平田医師)
そうですね、そこなんですよ、それがここの外科の病棟のいいところ(笑)。
(千田さん)
あくまでも私の印象ですが、前の病院でも血管系の先生ってすごく怖いイメージだったんです。声もかけづらいしすごく厳しいしっていうイメージだったので、最初はちょっと話しかけづらかったんですけど、今はお菓子くれたり、心配な患者さんを見てくれたり、すごく助かってます。
(鹿内さん)
平田先生は最初、大学病院からの非常勤でしたので、怖かっです。今とはちがう距離感があって、なにかやらかしたらどうしようという不安がありました。
最初、血管疾患を見るということがこの病院に無かったので、なかなか手術の機械出しや勉強の仕方がわからなかったのですが、一緒に仕事をしていく中ですごく丁寧に教えてくださって、頑張ったら後にご褒美もいただいて、毎日楽しいです。
(平田先生)
もともと外科医の手術そのものがチーム医療ですし、夜中でも僕らは泊まっていますけれど、なんと言っても24時間ずっと患者さんを看てくれているのは看護師さんなので、協同の診療パートナーが看護師さんだと思っています。
手術自体がチーム医療というお話がございましたが、その中でご自身の役割はどこだと考え、どういったところを重要視していらっしゃいますか?
(鹿内さん)
手術後どうしたい、社会復帰したい、歩けるようになりたい、といった患者さんの目標があると思うので、患者さんの目標が達成できるようにサポートすることが役割かなと思っています。
そのために、患者さんは入院するとどうしても遠慮してしまうことも多いと思うので、先生に言いにくいことを代弁したり、コミュニケーションをとっていろんな思いを汲み取っていくことが重要なのかな、と思っています。
また、誰か一人がいれば安全な手術ができるかといったら絶対にそうではないので、他のスタッフに教育センターで学んできたことを伝えるなどして、より患者さんがベストなケアを受けれるような環境づくりも意識しています。
(平田先生)
すごいですね。
どうしても医者は自分が立てたプランを押し付けるっていうのが強いところだと思うんですけど、患者さんはどうしてほしいっていうのはあるので、患者さんの要望を汲み取って、かつ医者のプランを分かりやすく翻訳して伝えて、理解してもらうというところは看護師の一つの大事な役割なんじゃないかなと思いますし、やってくれている。
そういう仲間を増やそうとしてくれてるんですね。
それが非常にありがたいなと思っています。
(千田さん)
最近印象に残った出来事なのですが、先生からストーマを絶対作った方がいいと伝えると、患者さんは先生が先ほどお話しされたように「はい」って言っちゃうんですね。
でも、その後にやっぱり作りたくないと、本当に嫌なんだって、先生には言えないけど看護師に伝えてる、悩んでいる、ということを聞いた時に、その患者さんのところに行って深掘りしてお話を聞いて、先生に伝えて、先生からまた再度納得していただけるようにコミュニケーションしてもらう、そういう役割もしています。
うちの看護師は平均年齢が若く、28、29歳くらいなんです。そうすると踏み込んだところまで患者さんに聞けないことが多く、代わりに話を聞く、という役割をしています。
そうやって職員の不安なことにアドバイスしたり、誰かが「こういうことが不安だ」と言ったら「じゃあこうしよう」とみんなで相談し合ったり、働きやすい環境づくりを意識しています。
チームの中で一緒に働くにあたって気をつけていることがあれば教えてください
(平田先生)
チームで働くにあたって一番大事なのはコミュニケーションになるのではないかと思います。
コミュニケーションを取るのに必要なことは聞くようにするという姿勢もありますが、それだけではなく相手の立場を理解すること、ではないかと思います。
今はご飯食べてるなとか、こういう業務をしてるからこの間ができないなとか、廊下でいきなり「話し合いしようよ」みたいに言われても、多分できないと思うんですね。
どんな場合のコミュニケーションにおいても「いつ取ったらいいか」「どこで取ったらいいか」というのを考えてコミュニケーションを取らないといけない、と思います。
(千田さん)
やっぱりチーム医療においてコミュニケーションって非常に重要で、インシデントやアクシデントもコミュニケーションエラーが原因となることが多い、と言われているんです。
なので他のスタッフや、コメディカルの方、先生と、目標を立てて同じ方向に向かっていけるようにコミュニケーションを大事にしています。
結構他職種との関わりが多いので、専門性に優れた人たちと話し合いをして、治療や退院に向けてどう支援していくかというのは、すごくいろいろ話し合っています。
(鹿内さん)
私も同じでコミュニケーションです。
特に私たちは先生との連携だけでなく病棟さんとの連携もあるので、専門性の技術も大事なんですけれど、新人さんからベテランさんまでみんなが持っているコミュニケーションがしっかりできるようになることで事故は減ると言われているので、特に意識しています。
チームの中で一緒に働くにあたって「難しいな」と思うことがあれば教えてください
(平田先生)
相手の忙しい度合いがわからない、相手が何をしているかがわからないという面はあるので、いつコミュニケーションをとったらいいのかは難しいですね。
あとは、医者も忘れ物をしたりするのを看護師さんや若い医者から指摘されて当然でいい、と思うんですよね。
ただ、コミュニケーションがちゃんとできていないと僕が間違ったことをやっていても、例えば「怖い」とか思うと指摘してくれないですよね。
これでいいのかもしれないなとか思ってそのまま突き進んでいっちゃうというところがある時が、一番怖い。
(鹿内さん)
私も上手くコミュニケーション取れると自負できるわけではなく、チーム医療は人対人なので、自分の言いたいこと、相手の言いたいことを100%理解するのは難しいなと思ってます。
例えば手術中は、手術してるので他の方からの問い合わせには出れないので看護師が基本的に受け継いで先生に伝言するのですが、その内容が100%合ってるのか、「今でいいのかな」「後の方がいいのかな」と声をかけるタイミングはいつがいいのか、そういったことを理解するのは難しいな、と。
先生の集中力をおとすことにつながる時もあるので、そこはコミュニケーションの難しさだなと思ってます。
(平田先生)
手術にしても肝っていうところがあるのでその肝の時はちょっと待ってもらいたいとは思うけども、肝っていうところ以外のところを見計らって伝えてもらえると、より患者さんのためにもなるしいいかなと思います。
そこを見極めるのがなかなか難しいというのは、今さっき鹿内さんが言ってくれたところです。
(鹿内さん)
経験を積んできて、今は表情や先生の手の動きも見るようにして、今はダメだなとかいうときは、電話もらった方から「急ぎですか?」と必ず聞くようにして「10分後に折り返します」みたいな感じでよりコミュニケーションを取れるように工夫しています。
(千田さん)
いっぺんに話しかけてくるのは止めてほしいなと思います。
一人ずつ喋ってくれ、というところにみんな気をつけてほしいと思います。
これまでの経験や学びの中で「成長したな」と思えた瞬間を教えていただけますか?
(鹿内さん)
今いろいろ話していて、きっかけとすればなんだろうと思い出してみると、先生が手術をしているときに、助手の先生が糸が乾かないように水をかけるという場面があるのですが、自分で文献を調べたり上司に聞いて、看護師がやってもいいと分かって、平田先生に「かけてみていいですか?」と声をかけたことがあったんです。
先生は是非と言ってくださったんですけれども、そうやって一緒に手術しているなっていう瞬間が、「今まではそれじゃなく次これだからあれだから」みたいな感じで、「じゃあ次なんだろうな」と単純だったんですけど、今は「ちゃんと一緒に手術をしているな」「一緒に患者さんを救えたな」という感覚がありますね。
(平田先生)
これは大変嬉しいことで、なぜかというと何をしたいかを理解してくれている人が一緒の手術を組み立ててくれていることになるからです。
その機械を出す、手術は何々をしたい、だからこの場面ではこうっていう手順とか決まりではなく、こうしていくとうまくいく、何をしたいかがお互いに分かってくる。
だからそういう意味ですごいありがたい。
(千田さん)
先ほどのストーマのことですとか、空いてる時間に話を聞いてみようと考えられたり、周りが見えたなと感じられたときっていうのは成長したなと思います。
あとは、患者さんの退院支援を通じて、家に帰りたいっていう思いを叶えさせてあげたいっていうのもより強くなっていて、退院支援の看護師さんやソーシャルワーカーの方、先生に「どうしたら退院できるのか?」を相談し、自分から周りを動かして退院を叶えさせてあげられたというのも、患者さん中心に考えられてきて、周りを動かす力もついてきたのかな、って思います。
(平田先生)
すごいことだと思うんですよね。
患者中心と言いますけれど、患者さん自身が全部考えられるわけではないので、実際は医療者が患者さんの気持ちを汲み入れてそれをどうしてあげるか、プランを考えてあげる仕事が大事なんじゃないかなと思います。
それを実際にやってるわけですよね。それが本当の患者中心の医療だと思うんです。
MESSAGE
(平田先生)
総合相模更生病院はまだまだ発展途上の病院だと思っています。パフォーマンスを上げる方法がまだまだあると思っています。
人数が多ければ多いほど、より仕事の幅が広がるので、一緒に前に進もうと思ってくれる人にぜひとも来てもらいたいなと思います。
この病院に来て一緒に進んでいく、大きくなって新しいことをやって、そこで働いている方々もまたバージョンアップしてというのが理想だと思います。
(鹿内さん)
ベテランの先生やベテランの看護師さんが多くいるので、本だけでは得られない学びが多い環境です。また、ライフスタイル重視でメンバーが協力しあっている職場です。
私は認定看護師資格を取得する支援があることがこの病院を選んだ理由でしたが、他の病院さんですとだいたい平均年齢が35歳ぐらい、女性だと子育てが終わってからですとか、大きい病院だと他にも行きたい方がいらっしゃると順番待ちみたいになってしまってどうしてもそういう世代になってしまう中で、私は20代で挑戦させてもらえました。
「若いからもうちょっと待ちなさい」とか、「もうちょっと経験積んでからじゃない?」といったことは一切なく、どの年代にもサポートや支援をしてもらえる病院だと思っています。
(千田さん)
急性期の病棟もあるので忙しい場面はたくさんあるのですが、総合相模更生病院は幅広い疾患を学べる場所だと思いますので、忙しい中でも学べる部分はたくさんあり、ステップアップできる環境だと思います。
私は学生指導の資格なども取りに行ったのですが、そういったことにも取り組んでいけるし、成長ができる病院じゃないかな、と思います。
すごく和気あいあいとしているのですが、真面目にやるところはすごく真面目に取り組んでいるので、オンオフがはっきりしていると感じています。
厳しさもある中で仲良くできているところは、この病院のいいところじゃないかなと思っています。